ユウキStory

【エピソード3】画面越しからなら、言える言葉がある

可愛いと思う人に、「可愛い」と言うことはない。

 

初めて会った人に「可愛いですね」なんて言えば、あ、こいつチャラいな、となる。

普段接している友達に「可愛いよね」とか、好きだと勘違いされるやつだ。

通りすがりの人に「キミ可愛いね」というのはナンパだし、そんな声かけ完全スルーだろう。

 

よくよく考えたら、会ったことのない人に対して、数枚の顔写真と簡単なプロフィールを見ただけで、

「いいね」

なんて、みんなよく言えたもんだ。

って、考えてる僕が古いんだな、きっと。

だって、みんなこんなに「いいね」をもらってる。

たしかに、誰にも見られていないこの場で「いいね」を押すのは、なんだか気がラクだ。

こうやって、ネット上での出会いに偏見はなくなっていくんだろうね。

 

ちなみに、付き合ったコなら「可愛いね」って言うよ、僕は。

たぶんね。

いいね、と、メッセージ付きいいね

Pair’sには「いいね」と「メッセージ付きいいね」がある。

「いいね」はそのまま、相手に「〇〇さんからいいねが押されました」と通知がいくだけ。

「メッセージ付きいいね」はその通知とあわせて、簡単なメッセージを送ることができる。

 

女性側のプロフィールにもよく書いてあることで、

「プロフィール読んでなくてのいいねはいりません」

なんてのがある。

プロフィールだけでいいねと言える神経もすごいが、ノウハウ記事なんかではよく「まずはいいねを片っ端から押す」なんてことも書かれているので手に負えない。

だから、「メッセージ付きいいね」は、そう感じる女性側からすると、

「あ、読んでくれてるんだ♡」

と他と差を付けられるポイントになる。

 

ただし、「メッセージ付きいいね」は、有料ポイントが3pt必要だ。

…いい商売してるぜ。

 

気になるあのコ、名前は「ユカ」

少しだけ前の彼女と面影を重ねた、そのコの名前は「ユカ」だった。

本名かどうかは分からない、でも、とにかくユカだ。

さらっと見た感じのプロフィールは、

  • 僕と同じく都内で一人暮らし、出身は地方
  • 身長158cm、体型は普通
  • 事務員として働いている
  • お酒は「ときどき飲む」、タバコは「吸わない」
  • 旅行や温泉が趣味、音楽もフェスなどにたまに行く

 

「フェスかぁ…」

と、一瞬ウッとなったが、温泉や旅行は僕も好きだ。

そういえば前の彼女ともたまに遠出したなぁ、どうでもいいけど。

まあ遠出の一つだと思えば、フェスも似たようなもんか。

お酒も飲めるみたいだし、一緒に飲んだら楽しそうだなぁ。。。

 

 

 

いや待て。

待て待て待て。

僕は「いいね」を押しただけだ。

リアルな世界でいえば、通りすがりに可愛いと思った人に、それこそいきなり「キミ可愛いね」と投げかけたナンパ師のような状態だ。

そんな状態で、よくもまぁ「デートしたら…」みたいな妄想を繰り広げられたものだ。

自分の愚かさに辟易する。

 

でも。

でもでも、もしかしたら。

何らかの間違いで、向こうも僕のことを気に入ってくれて。

やりとりしてたら会うことになって。

会ってみたらお互いに好印象で。

そのうちディ〇ニーとか行くことになったら―――

 

こういう何も決まってないうちからの、僕のポジディブな妄想にも困ったもんだ。

でも、それくらい、反応を待つ間はドキドキした。

妄想でつくった道を進んでいく自分を、想像してまた楽しくなった。

 

結局、その日中に、「ユカ」からの反応はなかった。

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